大阪:製油所で硫化水素ガス漏れ事故

事故災害概要

2025年5月17日午前10時ごろ、大阪府堺市の沿岸部にある石油精製工場で、有毒な硫化水素のガスが漏れる事故が発生したようです。その事故により、ガスを吸った従業員の男性3人が搬送され、このうち40代の男性が死亡、60代の男性が意識不明の重体とのこと。

70代男性については、意識は鮮明ではない状態で病院へ搬送されたが、会話はできていたようです。警察によると、石油を精製する過程で発生する有毒な硫化水素ガスが、何らかの原因で配管のつなぎ目から漏れ出たと報道されています。(業務上過失致死傷の疑いも視野に事故当時の詳しい状況や、安全管理の状況などを詳しく調べているとのこと)

報道されている内容によると、工場は堺市沿岸部の工業地帯にある石油精製工場で、敷地面積は77万平方メートル。その工場内にある、余ったガスをタービンで回して発電する「GTSプラント」で発生。事故当時3名は、設備の定期点検中で、配管内の清掃をするために結合部分を緩めたところ、ガスが漏れ出たと見られている。通報の約30分後にはガス漏れが止まっていることが確認され、敷地外への流出はなかったとのことです。事故の詳しい原因は調査中とのことですが、安全確認や作業手順の確認などを行わずに作業を行った可能性が高いのではないかと推測される。

類似災害と再発防止対策

硫化水素(H₂S)は非常に有毒なガスで、低濃度でも人体に悪影響を及ぼし、高濃度では短時間で死に至ることがあります。過去に、日本国内で発生した代表的な事例は以下の通り。

・福島県高湯温泉での硫化水素中毒死(2025年2月18日):温泉源泉の管理作業中、ホテル支配人ら3人が雪の窪地で倒れて死亡。空気より重い硫化水素が地形や気象条件により滞留しやすい環境で、雪に囲まれた窪地に硫化水素が滞留し高濃度のガスを吸入し中毒死した。

・埼玉県八潮市の道路陥没事故(2025年1月28日):県道の交差点で道路が直径10m、深さ5mほど陥没し、トラックが転落。インフラの老朽化と硫化水素の腐食性が複合的に災害を引き起こした。

硫化水素が発生 → 空気と反応して硫酸となりコンクリートや鉄筋を腐食 → 地盤が空洞化し陥没。

硫化水素災害を防ぐには、作業前のガス濃度測定と十分な換気が不可欠です。防毒マスクなどの保護具を着用し、一人作業を避けて複数人で行動することが重要。老朽化した設備は定期的に点検・更新し、腐食対策を講じる必要があります。さらに、作業員への安全教育と緊急時の対応体制を整備することが重要です。

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