札幌市中央区解体工事現場でカラビナ落下事故
事故災害概要
2024年5月14日、北海道札幌市の立体駐車解体現場で発生した工具の落下事故。落下した工具は、「カラビナ」とよばれる長さ10cm、幅5cmほど金属製のリングで、資材を移動させる玉掛ロープに括り付けられていたものとみられ、資材の移動、揚重を行う際に何らかのはずみで弾け飛び、仮囲い外へ5m落下。通勤のために現場前を歩いていた女性の頭部に当たり、頭を打撲するなどのケガを負ったとのこと。(詳しい事故原因については調査中)
報道された現場の状況をみると、外部足場の周囲はシートで養生されているほか、落下防止用の朝顔も設置されているようですが、コーナー部分の朝顔が一部設置されていない状況も確認できます。これらの状況から、シートで養生されていない最上段部分近くで資材の移動ないしは揚重を行っている最中に、玉掛ロープに結束されていたカラビナが外れて足場の外へ落下したのではないかと推測されます。落下したカラビナは、シートが設置されていない部分、もしくは朝顔の無い箇所をすり抜けて道路へ落下したと推察されます。
類似災害と再発防止対策
公衆災害は「物損災害」と「死傷災害」に分類され、発生内容別に見ると物損は、埋設管の損傷、重機等の接触・転倒、架空線の損傷などが上位を占め、死傷では段差などでの転倒、資材の落下、重機等との接触などが多いとされています。
解体工事では外周養生で防音パネルを貼りますが、最近では春の嵐、メイストームと呼ばれる激しい強風で足場の倒壊が頻発しています、10分間の平均風速が毎秒10メートル以上の場合には速やかに作業を中止し、シート・防音パネルなど、風荷重が大きくなる要因となる養生材は早めに撤去するか、巻きあげるなどの措置をとって壁つなぎ(特に上端や左右の端部に設けた壁つなぎ)に対して補強を行う必要があります。 工事に関係ない第三者にけがを負わせたり、公共物を破損させることは絶対に避けなければなりません。解体工事には、すべての公衆災害発生の芽が潜んでいます。事前検討を十分行い、検討通りに施工されているか確認をおこなうことが重要です。