福井県池田町の解体工事現場で一酸化炭素中毒

事故災害概要

2024年3月20日、福井県池田町の解体工事現場で発生した、エンジンの排気ガスによる一酸化炭素中毒。解体作業をしていた技能者3名が倒れているのが見つかり、病院へ運ばれたがこのうち1名は死亡が確認され、2名は搬送後には会話ができる状態まで回復したとのこと。現場ではエンジン式の高圧洗浄機を使った作業が行われており、消防の調査によると現場のガス濃度が高かったことなどから、エンジンの排ガスによる一酸化中毒の可能性があるとみて警察などが調査をすすめている。(事故当時の換気の状況など事故の原因を調査中)

報道されている状況によると、事故が起きた当時、3名の作業員は施設内にあるホールで天井部分のウレタンをはがす作業をしており、10メートルの高さで組まれた足場の上での作業中に意識を失ったとみられている。現場には窓が無く、適切な換気処置を行わずにエンジン式の高圧洗浄機を動かして作業していたとのこと。空気の流れが悪い空間で、適切な換気設備の設置を行わず、一酸化炭素濃度の定期的な計測や警報機の設置なども行っていない状況で作業を行っていたことから、エンジンを稼働した際に発生する一酸化炭素が循環せずに滞留し、溜まった排気ガスを吸い込んでいたのではないかと推測されます。

類似災害と再発防止対策

自然換気が不十分な場所で一酸化炭素中毒が発生しやすくなります「建物の側面の概ね半分以上が閉塞されていて、有害物が内部に滞留する恐れがある場所」には特に注意。

特別規制による「屋内作業場」の定義でいわれる「自然換気が不十分な場所」に該当します。

地下通路やトンネル工事の切羽付近など、奥に長い形状の現場や建築工事でも1階内部にポンプ車を配置してコンクリート打設を行うようなケースでは、内燃機関を有する機器から出る排気ガスがその場に滞留し、一定時間ガスを吸い込むことにより中毒を発症することがあります。(2~3時間後に気分が悪くなる)換気設備を設置したとしても、その場での循環換気となっていては送気ができていません、奥の方に新鮮な空気を供給して排気ガスを入り口方向に押し出す計画を意識しましょう。延長が長い作業場では送風機を途中に設置して十分な新鮮空気の取り込みを可とすることが重要です。