新宿の地下駐車場二酸化炭素中毒事故 工事元請会社の現場責任者業務上過失致死傷で書類送検

事故災害概要

2021年4月15日午後4時半ごろ、東京都新宿区下落合の築18年のマンション地下機械式駐車場で老朽化した天井張り替え工事中に発生した二酸化炭素中毒による死傷事故。天井張り替え作業による影響で消火設備が誤感知し、二酸化炭素ガスが充満し、27歳~59歳の男性作業員4名が二酸化炭素中毒で死亡させ、別の作業員1人に軽症を負わせたもの。警視庁捜査1課は2024年11月7日、現場責任者の男性(60)を業務上過失致死傷の疑いで書類送検していた。

このマンションの消火設備はボイラー室のような「多量の火気を使用する場所」や、常時人がいない機械式の立体地下駐車場などに設置を認められている「不活性ガス消火設備」。熱と煙の感知器の双方が反応することで、地下駐車場内を封鎖して二酸化炭素ガスを自動噴出させ、周辺の酸素濃度を下げて延焼を防ぐ仕組みのもの。警視庁は、天井を張り替える作業を行う過程で感知器を着脱した際に、煙感知器系統の配線に熱感知センサーを誤って取付けたうえ、着脱時に手の温度や衝撃に反応して誤作動したのではないかと考えられる。

類似災害と再発防止対策

「不活性ガス消火設備」を備え付ける機械式駐車場でCo2を噴出させないためには、作業員を配置する前に「ガスの元弁」を閉める事が絶対、それに加えてガスの噴出機構を「自動」から「手動」に切り替えると同時に、センサー制御盤の電源を落とす安全対策が必要になる。厚生労働省は、事故の翌日「基安労発0416第1号」として通達を出している。

地下駐車場等に使用される二酸化炭素消火設備の点検作業等における労働災害の防止について(厚生労働省労働基準局安全衛生部)

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