東京八重洲再開発の鉄骨落下事故

事故災害概要

2023年9月、JR東京駅近くのビル建設現場で発生した「鉄骨梁の崩落」事故、高さ約200mを超える高層棟を含む複合施設ビルの再開発現場、低層棟の7階から架設中の鉄骨大梁と設置済みの複数本の小梁が一体となって落下したとみられています(事故原因については警察と労働局などが調査中)。

上空から撮影された報道写真からは、足場部材が鉄骨の下敷きになっている様子がうかがえます。その状況から災害の状況を推測すると、中間支保工用のベントが崩落しているようにも見え、大スパンの大梁、仮ボルト接合状態の小梁数本の集中荷重(数十トン)に耐えらなかったベント材の足場が崩壊してしまったのではないかと推察します。

類似災害と再発防止対策

鉄骨建て方中の崩壊事故の発生原因は、接合部の仮ボルトの本数を誤るなどの単純ミスで鉄骨の全体バランスが崩れて倒壊する事例や、ジョイント部のスプライスプレートの取付が無く、急遽仮受けを細工したものの部材が許容に耐えられず崩壊するなど、様々な原因で発生しています。

接合部の仮ボルトの本数を作業手順書に明記して関係者全体で共有する、スプライスプレートの全数チェックの徹底など、基本的な再発防止対策が求められます。ベント工法などで中間支保工が必要な建て方時においては、支保工が負担面積分の全荷重が支持できる強度を十分保有する部材を選定し、それらの架設物の構造を安全率を十分に考慮した強度計算で証明する必要があります。